屋上付き一戸建て(陸屋根)のメリットデメリット

住宅購入

私たち夫婦は開放感のある屋上付きの戸建てが気に入り、約1年住んでいます。時々友達を呼んで屋上BBQをしたりペットを散歩させるのが楽しみです。屋根を屋上にするなど土地を有効活用できるほか、スタイリッシュな外観で人気のある陸屋根タイプの住宅ですが、メリットばかりでなくデメリットもあります。これから住宅購入や家づくりを検討する方に向けて、実体験も交えて長所と短所をご紹介します。

そもそも陸屋根とは

陸屋根は「ろくやね」と読みます。フラットで平たい屋根のことを指し、平屋根とも言われます。横から見た時に四角く見えるタイプの住宅の多くが陸屋根の住宅です。かつては木造の住宅が多かったことから勾配のある屋根が多かったのですが、鉄筋コンクリート造の住宅が増えたことや防水技術が発達したことから増えてきた屋根のタイプで、スタイリッシュな外観で人気があります。

私たち夫婦はそんな陸屋根の中でも、屋根の部分を屋上として使えるタイプの住宅に住んでいます。屋上がある戸建てとなると雨漏りのリスクの観点から鉄筋コンクリート造が多くなるのですが、我が家は木造の屋上付き物件となっています。まだメンテナンス等は経験していませんが、住み始めて1年経ちましたので未来的なメンテナンスも含めてメリット・デメリットを紹介したいと思います。

屋上付き戸建てのメリット

プライバシーを確保できる

一般的に都市部の住宅において自分の敷地の中で屋外の部分というと庭か駐車場くらいになるかと思います。庭があれば家庭菜園を楽しんだり、子供が遊んだりすることができるかと思いますが、どうしても外から見えてしまうことが多いかと思います。そのため、庭でBBQをしたりするのは目立つので少し躊躇しますし、近年は様々な趣向をもった人がいるので子供をビニールプールに入れるのでさえ憚られる場合もあります。

しかし、屋上があれば周囲から見えづらい屋外空間を確保することができます。屋外の気持ちよさを堪能しつつ、周囲の目を気にせずにBBQをしたり、子供をプールに入れたりすることができます。

我が家ではよく屋上で炭で焼鳥を焼いています。「今日は晴れてるから焼鳥でもしようかー」と気軽に本格的な焼鳥ができるので幸せです。コロナ禍でなかなかできていませんが、友達を呼んでBBQをすることもあります。子供ができたら、プールに入れたり誕生会などをしてあげられたらいいなーと思っています。

屋上があれば気軽に焼鳥ができる
屋上があれば気軽に焼鳥ができる
屋上があれば友達と気軽にBBQができる
屋上があれば友達と気軽にBBQができる

土地を有効活用できる

住宅購入というと高額になることは一般によく知られていますが、内訳を見ると土地代の比率が高いことに驚きます。例えば、リビングくらいの広さの屋外空間が欲しいと思った時に、それを庭で実現しようと思うとその分の土地が必要になり住宅の費用が高額となります。一方で、屋上にした場合は土地を追加で買わずとも実現することが可能です。屋上の作り方によっては庭を作るよりも広い空間を確保できる可能性もあります。

土地が狭いけれど屋外空間も確保したい!という場合は屋上にすると土地を有効活用できます。

虫が来にくい

2階建ての家の屋根を屋上にした場合、屋上部分は実質3階の高さにあたります。例えば庭で刺されやすい蚊ですが、3階くらいの高さまで飛ぶのが限界と言われています。屋上であれば蚊に刺される心配なく過ごすことができます。蚊以外の虫も屋上まで飛んでくるのは難しいようで、家庭菜園をしていても虫が湧きづらく快適に育てることができています

日光が遮られない

屋上部分は木や他の建物の影になりにくいので、太陽の光がしっかりと当たります。都市部だと隣の家が近い・庭が狭いといった理由で太陽の光がしっかりと入る場所を確保するのが難しくなりますが、屋上であればそういった心配なく家庭菜園を楽しむことや、しっかりと布団を干すことができたりします。

ペットを逃さずに散歩させられる

屋上があると、気軽にペットを屋外で遊ばせやすくなります。庭だと脱走の心配がありますが、屋上であれば周囲を高い壁に囲まれているので逃げる心配がありませんので多少目を離していても大丈夫という安心感があります。

我が家ではリクガメを飼っているので、よく運動を兼ねて日光浴させています。小動物の場合、脱走しなくてもカラスに狙われるなど別の問題があるので屋上だからと安心せず目を離さないようにする必要があります。

屋上を散歩するリクガメ

屋上付き戸建てのデメリット

地域や気候によっては適さない可能性がある

私たち夫婦が住んでいるのは東京中心部から電車で30分ほどの場所なので、雪や大雨の心配が少ない地域です。そのため屋上を作っても問題がありませんが、雪国など雪が積もる地域では屋根に雪が溜まってしまう可能性があるので残念ながら建てることができない地域があります。陸屋根や屋上を具体的に検討し始める前にハウスメーカーや工務店の方に建設できるのか最初に確認した方が良さそうです。

メンテナンスの頻度が高い・お金がかかる

家づくりで気になるポイントとしてお金は大きいのではないでしょうか?購入費用はもちろんですが、長期的なメンテナンス費用も考える必要があります。その点で屋上は普通の勾配のある屋根よりもメンテナンス費が高くなります

屋根を屋上にする最大のデメリット・リスクとして雨漏り(漏水)が挙げられます。鉄筋コンクリート造の場合は雨漏りしにくいのでそこまで神経質になる必要はありませんが、特に木造の場合は注意が必要です。雨漏りは、部屋の中が濡れて困るというだけでなく、建物の木材が濡れて痛んでしまい家の耐久性が下がってしまうという大きな問題につながります。よって、雨漏りしてから修理するのではなく雨漏りさせないためのメンテナンスをこまめに行う必要が出てきます。

具体的には、屋上部分の防水メンテナンスを10年に1度行う必要があります。理由としては塗膜防水などの防水層の耐用年数が10年ほどのためです。ウレタン防水やFRP防水を行って防水機能を維持します。メンテナンス時の痛み具合にもよりますが、1平米あたり、1,500-8,000円の塗装台に清掃費や人件費が追加されるようです。普通の屋根の場合はここまで高頻度にメンテナンスをする必要はないので、両者を比較すると陸屋根は少し維持費が嵩みます。

中には木造で屋上にするなんて・・・という声もありますが、木造住宅のベランダ部分とつくりは似ているものです。ベランダの雨漏りにそこまでリスクを感じたり神経質になるという方はあまりいないかと思うので、普通の屋根より少し注意は必要だけど神経質になるほどではありません。ただ、技術が進歩してきたとはいえ現在はまだまだ木造の陸屋根は少ないので、木造で陸屋根にしたい場合は多くの実績があるハウスメーカーや工務店にお願いするのが良いでしょう。陸屋根に見えるけれど勾配がついている陸屋根”風”という設計もできるようです。

最上階の暑さ寒さが激しくなる

陸屋根の場合、屋根と住空間の間に空間が確保できなくなります。部屋の天井に直接太陽が照りつけるような構造になるので、一般的な勾配のある屋根に比べて部屋が暑くなりやすくなります。冬も同様で、冷たい外気が天井のすぐ上にあるので部屋が冷えやすくなります

我が家は2階の屋根が屋上になっているのですが、住んでみると1階部分に関しては普通の屋根だった実家と変わりないように感じたのでリビングなど日中過ごす部屋を1階にしておけば影響は少なくなります。また、真夏・真冬でなければ屋上に出るためのドアを開けておくことで家の中の風通りが非常に良くなり、普通の家よりも快適に過ごせるので一概に悪いとは言えないように思います。

しかし、真夏・真冬の過ごしやすさは重要なポイントでもあるので陸屋根を検討する場合は、リビングを1階に設計することと合わせて検討するのがよさそうです。

確実に晴れの日じゃないと洗濯物が干せない

陸屋根にすると、多くの場合軒が一切無い家になります。普通の勾配のある屋根の家は2階のベランダにも屋根がかかっていて、多少雨が降ってもすぐに取り込めば洗濯物が濡れたりしないかと思います。しかし、陸屋根の場合は遮るものが全くないので少しでも雨が降れば直撃です。確実にずっと晴れが続く日を狙って干す必要がありますし、すぐに取り込めるように在宅していないといけなくなり外で干したい派の方は洗濯物を干すことにやや苦労します

我が家は共働きで週末にまとめて洗濯するにもかかわらず外出する機会が多いので、布団は干したりするものの、衣服などの洗濯物は外に干さず浴室乾燥と乾燥機で乾かすようにしています。

自転車を置きづらい

洗濯物同様、軒が無い問題の一つですが、自転車が雨ざらしになる可能性が高くなります。普通の勾配のある屋根の場合は軒下や玄関先の屋根の下に自転車を置くなど、どこかしら屋根のある場所に置くことができるかと思うのですが、軒が無いと雨ざらしになります。

回避方法としては、お金がかかってしまいますが、駐車場に屋根をつけるのがベストなようです。長い目で見れば自転車も置けるようになりますし、雨が降っても車の乗り降りの際に傘をささなくて良くなります。お金をかけない方法としては、自転車用のテントなるものがあるので、これを使うとよさそうです。しかし、我が家は地形の関係で風が非常に強い街なので飛んでいってしまいそうで結局雨ざらしにしています。

ベランダに打ちつける雨の音がうるさい

これは住みはじめてしばらくしてから気づきましたが、ベランダのある部屋で過ごすと雨音が非常に大きく感じられます。これも軒が無いことによる影響なのですが、ベランダに直接雨が打ちつけることによって出る音となります。屋根があればベランダにはほとんど雨は入りませんし、入ったとしても直接打ちつけるわけではないのでそこまで音は気になりませんよね。

実家には普通の屋根がありましたし、一人暮らしをしている時も上の階のベランダが屋根になっていたので、ベランダの雨音を気にしてみたことがありませんでした。自分で家を買ってみてはじめて気づいたデメリットでした。とはいえ、台風のように強い雨だったとしても眠れないほどではなく、慣れると気にならなくなります。

回避方法としては、寝室など長時間過ごす部屋にベランダを配置しないという方法があります。我が家にはいわゆるベランダが寝室にありつつ、北側に広めのバルコニーがあります。隣接しているのは階段やトイレとなるので音も気になりません。北側で陽が当たらないので洗濯物を干したりはしていないのですが、もし干すとしてもそのバルコニーや屋上でも事足りるので寝室のベランダは無くても生活できそうです。このように、長時間滞在しない部屋の方にベランダを設置すればこの問題は回避できます。

まとめ

陸屋根や屋上付きの家には、土地を有効活用できる・屋上を利用した開放感のある生活や体験ができるといった生活の楽しみが増えるメリットがあり、家での過ごし方の幅が増えるメリットがあります。一方で、メンテナンス費用が多くなる、屋根が全くないことによる弊害が発生するといったデメリットもあります。

お金やスペックも重要ですが、家づくりで何よりも大切なのは、「家族が何を好きか」「これからの人生をどのように生きていきたいか」という生活イメージから考えてそれを家に反映してゆくことなので一番幸せに過ごせる家をゆっくり考えて作っていくと良いと思います。

コメント

  1. […] しかし・・・やはり北側は乾くのが遅く・・・。ベランダは陽が当たる場所につけて、カラッと干したいものだなぁと感じています。また、我が家の特徴として屋根がなく陸屋根なのでベランダにも一切屋根がなく、乾きにくい洗濯物を長時間干していると雨に降られた時のリスクが大きくなります。 […]